世紀末微懐メロ伝説その35。

Animals with Human IntelligenceOne Step Closer to You
ENUFF Z’NUFF
Animals with Human Intelligence [1993]

 ファーストセカンドに比べると妙に評判悪いのは「彼らに求めるもの」が間違ってんじゃねえのかなあ……とか思ってしまう悲運のサードアルバムより、それでも代表曲と呼ばれるバラード(3)を外し、HR/HMサイドからはもっと支持されるであろう(4)も外し、自分がどうしても彼らでないとダメだと思うに至ったベッタベタの歌謡ロックを。


 シカゴのロッカーが日本で受ける、と言われるのは単に本国で彼の地が「ロック不毛の地」と見なされているからじゃないかと思ったりする。東西の対立の中で中間点が不要に貶められるのはよくある現象だし。

Imaginator / NELSON Enuff Z'Nuff

 かくいう私もズナフは随分長い間スルーしていて、このアルバムにしても完全な後追いである。New Thingは聴いていたけれどさほどピンと来なくて、結局NELSONの幻のセカンドアルバムに提供した2曲に打ちのめされてからの出戻りだ。シャープな音づくりで改めて楽曲の素晴らしさに気付いたというか、そもそもラジオでの接近遭遇だけでは個別の楽器の音を捉えるに至らなかったというか。まあそんな感じ。
 はっきりいってワンパである。特徴づけているといわれる半音階を多用したメロディラインもむしろ70年代のジャパンロックである。ZIGGYと甲斐バンドを足して2で割ったといえば不惑前後の方にはきっと同意してもらえることだろう。なんて乱暴な。
 だからこそ安心して聴けるんですな。じゃあ今どきの若者が一生懸命追いかける理由があるのかと訊かれるとオジサンこまっちゃうけど。