奈良新聞経由で生駒市。
平成19年度の実施計画を公表しています。
ここでいう実施計画とは、自治体が政策に基づき展開する全ジャンルの事業を(予算つきで)示した総合計画の実施計画を指す。個別の事業計画との違いは、他ジャンルの事業コスト(ヒト・モノ・カネ)が相互調整されていること。単年度事業の優先度が高ければ先送りされる事業もあるから、大抵の場合は5~10年先を見越して毎年策定(更新)する。
実施計画は前年度の決算が終了し次年度の予算案を作成する間、つまり7月から11月ぐらいまでに内容を詰める(リンク先のページ最下部を参照)。しかし予算案が決議されるのは年度末ギリギリの3月議会だから、本当の意味では今の時点で内容が確定していない(市内部の事情だけでなく、国会の動静によっては補正予算で新しい事業が発生することもある)。他にも様々な横やりや前年度事業の進捗遅れなどで内容が変質したり、次年度の実施中に進行管理がまったくできなかったりするため、せっかく計画書を作成しても有名無実化し、顧みられることなく放置されていることが多い。
ここ数年流行の事務事業評価(行政評価を事業単位で行う作業)は本来この実施計画の適切な履行を担保するはずのものだが、現実には「その事業が妥当だったと後付けでフォローするためのもの」に成り下がっている。
つまり、実施計画は自治体にとって作ってるけど見せたくないケースがほとんどで、事実よくある「内部資料」として印刷だけして積んであることが多い。さらに自分の部署の事業計画は読むまでもなく、他の部署は読んでもわからないから、当の職員が計画書の存在をまるで意識していないという現実もある。
そういう状況を知った上で、未確定だけど市として(ヒトとカネを使って)やりたいと思ってることを示してきた生駒市の決断はもっと褒めていい。残念ながら、一覧を見る限り市の全事業を提示しているわけではないこと(生駒市レベルなら1000事業ぐらいあってもよさそうだ)、行政内部の計画とはいえ市民の意見を反映あるいは参考にするプロセスが見あたらないこと、この2点によって画竜点睛を欠く感もあるが「行政がいかに企画し実施し評価し改善していくか(年間のPDCAサイクル)」を一貫して見せていこうとする先駆的取り組みとして、他の自治体にはぜひ見習ってもらいたい。
やっぱ若い首長はフットワーク軽くていいねえ……。