Light Shine
SWIRL 360
California Blur [2005]
全13曲のこのアルバム。でも最後の「Okay」は再収録曲ということで、彼の「ダメダメ・カリフォルニア・ストーリーズ」はここでひとまずの区切りとなります。
11曲めが映画のエンディングロールなら、この12曲めはテレビシリーズのエンディングとでもいいましょうか。とりとめのない会話を何度も繰り返し、それでも最後の10分では「その話の中での決着」をため息と苦笑いで迎える、そんな1時間ものの青春ドラマ風味。
すぐ目の前にある、決して暗くはないけれど立ち止ることも脇道に逸れることも許されない一本道への入り口を、焦点の定まらない瞳で眺めながら過ごした日々。
さようなら、僕のカリフォルニア。
気持ちを強くもたなくちゃ
つくりものの笑顔でいい
なにも恐れなどしない
そう自分に言い聞かせて
輝いている 光が君を照らす
夢のような日々に別れを告げよう
君を突き動かす何か それだけを頼りに
輝くときが来たんだ
インタビューでデニーが「あの出来事にはひどく傷ついたし、その傷もまだ癒えていない」と答えたとおり、新たな門出を迎えた彼には浮かべるべき笑顔も抱くべき期待もありません。
街も、過ぎゆく人の姿も何ひとつ変わらないのに、立ち上がる時だけは否応なしにやってくる。無為に過ごした日々の記憶を自分の中にだけ残し、彼は人より少しだけ長かったモラトリアムの終結を宣言します。
でも、たとえどんなに悲惨な思い出であっても、振り返ればそこには必ず心やすらぐ光があります。だからこそ人は古傷に触れるのを厭いもせず昔語りをしてしまうのかもしれません。
そんな13曲めに続く。