Sweating Bullets
MEGADETH
“Countdown to Extinction” [1992]
名作「破滅へのカウントダウン」よりサードシングル。
バッドトリップ風のPVは本国で物議を醸したらしいのだけど本邦じゃ既にメタルPVのオンエア自体かなり下火になっていたから大した話題にもならなかった。ていうか先行シングルの(2)(4)に比べると見た人はかなり少ないんじゃなかろうか。
ふたばの二次裏で初めて俺スレに遭遇した時すぐに思い出したのがこの曲。以降この曲を聴くたび、ニックの叩くシャッフルに乗せて脳内に俺がアップで。おおむねこんな感じで。
けしてー
りらいとしてー
ヨタ話はこのへんにして周辺の事情を振り返ると、前作Rust in Peaceで新体制への評価が高まったのを受け、メガデスとしては初めての「メンバーが替わらない」アルバムでありました。大佐の暴力的なリフ、ジュニアのヒネったベースライン、そこにマーティの変態メロディラインが加わったところをニックの安定感抜群なタイコが抑えるという構成は今振り返っても最高の体制であったと思います。
さらにマックスノーマンのいい仕事でレコードとしての完成度も高まったということで「これが売れなきゃもうダメだろ」というところに待ち受けていたのが、The 50 Worst Songs Everでも堂々2位に輝いたAchy Breaky Heart。渾身の力作がよりにもよってこんなアホアホソングに阻まれるとは大佐の不幸も半端じゃねーな、と。というわけであの黒バックでヒザ揺らすだけの退屈なPVを見るといまでも殺意がふつふつと。
重いだけだのコマーシャルだのと不満の声も散見されましたが、このアルバムがキャリア中最も「出来がよい」のは間違いないこと。キャッチーな(1)から変態リフてんこ盛りの(2)、スケール感のある(4)にドラマチックな(7)、キャプテン和田こと(10)から3曲分ぐらいのアイディアが詰まった(11)まで途切れることのないハイテンションはまさにアンストッパブルキリングマシーン。
2004年のリマスター盤には当時の国内版ボーナストラックだった(12)Breakoutと(13)Go to Hellに変えて、次作Youthanasiaの日本版ボーナスだった(12)Crown of Wormsと各曲のデモバージョンが収められております。
Intellectual Thrash Metalなどと長ったらしい冠を付けていた彼らの音楽が、まさにMetalそのものになった記念すべきアルバム。好きだの嫌いだの以前の問題として、HMの定義がどう変わろうともこのアルバムだけは外れようがない。これがメタルでなくて何をメタルと言うか、と。