世紀末微懐メロ伝説その41。

Kingdom of DesireGipsy Train
TOTO
Kingdom of Desire [1993]

 ジェフ・ポーカロの死後に追悼アルバムの形でリリースされた「もっともTOTOらしくない」らしい“HRライク”なアルバム、邦題「欲望の王国」よりオープニングチューン。
 どうにもIsolation以上に評判よろしくないらしい。なぜだろね。


 TOTOというバンドは、実はジェフ・ポーカロとスティーブ・ルカサーがすべてなのだろう。少なくとも僕にとっては。ハードでクリアでタイトなロック。これ以上なにを望むんだ、って。
 コロコロ変わるヴォーカルが核に置けないのは当然。そして、僕のペイチに対する評価は決して高くない。それは(日本でいうところの)AORと呼ばれた音楽に感じた「志の低さ」や「インチキ臭さ」をずっと払拭できなかったからなのかも知れない。
 このアルバムがジェフの遺作となったことについてどうこう言う人が後を絶たなかったけれど、僕にいわせりゃ「そういうジェフは他でいくらでも聴けるじゃないか」となる。更に「ダンやボズみたいなのがいいならそっち聴けば」とも。バンマス状態だったと言われるTOTOにおいて彼がやりたいことを(模索の中であったとしても)やっているのに「余所でも聴ける音」「仕事で出してる音」をどうして求めるの、と。
 「ジェフの最後のアルバム」と知りながらこの1曲めを聴いたときに感じた衝撃と感動は、十余年を経ていまだ色褪せない。だからきっとそれは、少なくとも僕にとっては本物であり、本質なのだ。
 The Seventh Oneのキャッチーさは嫌いじゃない。IVも確かに名盤といわれるだけのことはある。Turn Backは今でも聴いてて楽しい。でも、どれかといわれたなら僕はこれとIsolationを選ぶ。たとえそこに99やAfricaやRosannaが入っていなくても。