世紀末微懐メロ伝説その58。

I BelieveSweet Love
SANDY REED
I Believe [1994]

 もうこの頃になるとピンの女性シンガーにはあまり目が行かなくなりつつあった。忙殺されまくりの暮らしでは音楽聞くどころの騒ぎじゃなく、わずかの間を使って本屋で立ち読むロキノンやクロスビートで顔なじみのアーチストが新譜出したりしてないか月イチのチェックを入れるぐらい。
 だからこいつに遭遇した経緯がよく思い出せない。でもまちがいなく一発でノックアウトされたんだろう。一時期Googleでさっぱり引っかからなくなったのは同名のポルノ女優のせいなのか。謎だ。


 ゴツンとインパクトのあるノド。久しぶりに「歌手」に出逢ったような気がしてすごく嬉しかった覚えがある。本国ドイツでは評価の定まった歌姫であるらしく、なるほどなるほどと頷くばかり。
 確かに曲は「あまりにひねりのない」ものが並んでいるんだけど、別の視線から見れば彼女の声という素材のよさをそのまま出すには悪くない結果かも知れない。実際、他のシンガーに歌わせたら退屈なだけになるはずの(4)や(12)をちゃんと聴かせてしまうのはまさしく実力のなせる技。
 逆に(5)や(9)なんかはそのへんのアイドルにやらせといてもよかったような気がしないでもない。面白いのは(1)や(5)などではそれなりの初々しさを見せてるくせに、アルバム全体ではどっちかというと加藤登紀子ばりの雰囲気出しまくっていたりするところ。退屈しません。
 2年後のセカンドを最後にさっぱり音沙汰がありません。実力から考えると不思議でしゃーないんですが、何かあったんでしょうか。