世紀末微懐メロ伝説その70。

スキゾフォニックSwollen Princess
NUNO
“Schizophonic” [1997]

 エクストリーム→ソロ→モーニング・ウィドウズ→ソロ→ドラマゴッズ。

 「ヌーノたんマジ落ち着きない」と言いたくもなるが、今回解散したら頭を剃るとか何とか言ってるらしいのでもう少し様子を見よう。

 というわけでポールギルバートと並び昭和41年生まれで微妙なシンキンカン覚えてしまう「気ィ弱そうな兄ちゃん」ことヌーノ・ベッテンコート、30歳当時のファーストソロアルバムから最もアルバムタイトルを反映していると思われる(2)を。


Nuno 実際この曲を言い表すのに最も適した日本語は、裏ジャケットの女形ウィッグを外したヌーノ・フランケンシュタインを見ずとも、それが誰にでもわかる形で現れている歌詞を脇に置いても、「狂気」以外にはありえないのだ。意図的にそれをコンセプトとしたわけではなく、ただ「自分の中にある捨てきれない思い入れの断片」をすべて吐き出した結果としてのこうした作品には、洋の東西を問わず惹かれてしまう。

 かつて寝汗をかきながら幾度も見た悪夢がそのまま音楽になったようなこの曲の中でヌーノは存分に気違いと化しているのだけど、アルバムも全体通してしっかりムチャクチャである。脱力感満載の(7)から唐突に毒気の抜けた(8)へ、そして(9)の鬱屈なんてまさしく狂人の微笑、分裂症以外のなんでもない。聴く側の意識を無視したその展開は、エキサイティングを通り越して「寝言に返事しちゃダメ」的な緊迫感。

ラヴ(LOVE) そして常人に戻ったヌーノの、モーニング・ウィドウズの2作は確かに「それなりによくできている」んだけど面白みが無い(まだセカンドはマシだが)。

 ドラマゴッズはまだ入手してないんだけど、シングルのPVとか見てるとサイケデリック方面への回帰が多少見られるっぽい。公式ブログはあくまで「親日家のいい人」ばかりをアピールする方向で来ているのだが、なんつーか売りをわかってねえなあ、なんて思っちゃうのだ。