社員持株会。

 前の会社の持ち株がようやく精算された。

 退職から4年と3ヶ月、思い出したように送られてくる配当0円の投資報告書と社内事務局からのエクスキューズは相変わらずの困窮ぶりを知らせてくれていたが、それもこれまで。

 在籍している頃から、いや入社直後から「この会社がクライアントならいくらでもしてあげられることがある」と思っていたけれど、結局は中の人にできることの小ささを痛感し続ける10年間だった。
 もちろんそれは他のクライアントに相対するとき隠れたリスクを思い出させてくれるという意味で役に立っているし、今でも顧客としての面白さは失っていない。伸びしろは小さくないと思うのだ。コンサルティング業を自称するには外との「刺激のやりとり」があまりに小さすぎる、その一点を突破してやることで潜在能力を引き出せるはず。そういえば社長のお得意フレーズだったなあ>一点突破

 でも、創業者であるその社長の影響力は僕が退社する時点ですでに弱まっていた(そもそもそれが退職を決めた直接的な理由だ)し、改革を試みた若手幹部のビジネスプランに疑義を唱えて出ていった人間に啓発されるなんて状況を受け入れはしないかな。そもそも僕自身、その環境で10年間を耐えられたという一点で悪い意味での同類あるいは共犯者として見られている可能性が高いし。

 なんとかしてあげたい、なんて歪んだロイヤリティは恒常的な労基法違反の証拠でもある勤怠シートの控えといっしょに捨て去ることとしよう。さようなら。