世紀末微懐メロ伝説その6。

Son of Albert / Andrew RidgeleyShake
ANDREW RIDGELEY
“Son of Albert” [1990]

 「WHAM!のジョージマイケルじゃない方」ことアンドリュー“へなちょこ”リッジリーの後にも先にもこれっきりソロアルバムからシングル曲。

 アルバムはもはや珍盤のレベルに達してるようで、なんとか中古でみつかるレベル。この曲が入ってるコンピレーションアルバムがリリースされたこと自体、奇跡に近い出来事かも。

 音自体もジョージのFaithを焼き直したかのようなスカスカダンスチューンで見るべき(聴くべき)ところも特にない。むしろ思い出されるのは、WHAM!じゃ引っ込み気味だった彼をピンで売り出すための暴走気味なプロモート。

 SONY MUSIC TVなんかはデビュー特集でクリップとメイキングなんか流したりしてたんだが、プライベート・ギグのため貸し切りにしたクラブに現れた彼の、コスチュームがまた厳しかった。ジョージはFaithのプロモーションでヒゲ&ジーンズ&ライダースジャケットといった(今にして思えばガチホモのカミングアウトと言えなくもない)ある意味Faithのサウンドとマッチさせたスタイルで攻めてきたんだけど、アンドリューのコスチュームはジャネットジャクソンですかボーイジョージですかって感じにドレッシーで、もう痛々しいからやめてあげてよと見てる我々の涙を誘ったものだ。

 日本では二枚もシングルCDをリリースしているが、結果として一発屋の称号すらもらえないレベル。男性二人組のアーチストってのは大抵の場合二枚目の方をもう一人が支えるという構図で落ち着いてるんだけど、物事には必ず例外があることの証明として貴重な存在だったのかもしれない。

 ジョージはいけ好かないけどアンドリューには救われたなんて歌われたりとかヘアレス・ウィスパー呼ばわりされたりとかとことん酷い扱いですが、実は成功のお釣りで(カーレース以降も)そこそこ楽しい人生を送ってるようで何よりです。