世紀末微懐メロ伝説その93。

ゼア・イズ・ナッシング・レフト・トゥ・ルーズNext Year
FOO FIGHTERS
“There is Nothing Left to Lose” [1999]

 ビールの宣伝でお茶の間にも馴染みのMonkey Wrenchを含むセカンドを外し、敢えてこのサードを選んだ理由がこの曲

 PVでデイヴ・グロール=槍魔栗三助説を証明したLearn to Flyではなく、Nirvana直系グランジ展開のStacked Actorsでもなく、ましてやボーナストラックのFraternityでもなく、この曲

 来年には帰るよ
 そう
 来年には、さ

 僕にとってそれは丸5年のあいだ離れていた神戸の地にほかならない。くりかえし呟いていたそれが叶った1999年の春。帰宅が終電25時デフォルトというバカげたサービス残業の毎日で「神戸に戻れたこと」を反芻できずにいたそんな頃。

 元の歌詞は望郷のニュアンスからまるで遠いのだけど、穏やかな曲の流れに身を任せると「ああ、帰ってきたんだ」という気持ちになれた。たとえ学生の頃のように「いつでも土曜の昼下がりみたいな」街を満喫できなくても、思い立って訪れれば見知った顔が待っている場所などもう存在していなくても、ただ神戸の街から「どこかへ戻らなくていい」のだと安らぎを感じられるようになったのは本当にこの曲のおかげだ。

The Colour and the Shape [from US] [Import]Foo Fighters [from US] [Import] しかしまあ、フーファイはサードまでですな。やっぱ。
 先述のMonkey WrenchやMy Hero、ファースト初っぱなのThis is a Callなどなど。たとえにRushを持ってこれたのはこのアルバムまでじゃなかろーか、と思いまする。

イン・ユア・オナーワン・バイ・ワン [Limited Edition] 次作のOne by Oneからはもうタフなロケンロールつーかオルタナ群像の中に埋もれてしまったような気がしますよ。グランジオリジンのNirvana出身者が80年代テイスト満載で復活したから面白かったのであって、正直フーファイのハードロックなんて興味ねえです。だからIn Your Honorの迷走ぶりにはちょっと期待した。

 ガンズのUse Your Illusion後みたいなことにはならんでくれ、頼むぜデイヴ。